
近視の度数分類(等価球面度数 SE)
| 分類 | 等価球面度数(SE)の目安 | 備考 |
|---|---|---|
| 正視 | −0.50D 未満(プラス側含む) | 近視なし |
| 軽度近視 | −0.50D 〜 −3.00D 未満 | |
| 中等度近視 | −3.00D 〜 −6.00D 未満 | |
| 強度近視 | −6.00D 以下 | 合併症リスクが高まる |
| 超強度近視 (病的近視) | −8.00D 以下(または眼軸長≥26.5mm+眼底変化) | 合併症リスクがさらに高まる |
※ 等価球面度数(SE)= 球面度数 + 乱視度数 ÷ 2。分類は文献・機関によって若干異なります。
緑内障(りょくないしょう)は、視神経が障害されて視野が欠けていく病気で、 日本の中途失明原因の第1位とされています。 近視、特に強度近視では 緑内障のリスクが高まることが複数の研究から報告されています。
近視と緑内障リスク
北京Eye Study(Beijing Eye Study)の10年追跡データでは、 緑内障(開放隅角緑内障)の10年発生率と近視の関係が次のように報告されています。
| 近視の程度 | 10年発生率 | リスク比(OR) |
|---|---|---|
| 正視・遠視(基準) | 2.1% | 1.0(基準) |
| 軽度近視 | 6.2% | 3.2倍(95%CI 1.7–5.8) |
| 中等度近視 | 8.1% | 4.2倍(95%CI 2.0–8.8) |
| 強度近視(高度近視) | 13.3% | 7.3倍(95%CI 3.3–16.3) |
また別の解析では、近視1ジオプター増加ごとに緑内障リスクが約20%増加するという用量反応関係も示されています。
なぜ近視眼で緑内障が起こりやすいのか
詳しいメカニズムはまだ解明されていない部分もありますが、以下の点が関連するとされています。
- 眼軸長の延長による篩状板(しじょうばん)への機械的負荷: 眼球が引き伸ばされることで、視神経が通る篩状板に歪みが生じやすくなる
- 近視眼に特有の視神経乳頭形態: チルトした乳頭・乳頭周囲萎縮(PPA)が多く、視野異常との区別が難しい
- 眼圧との相乗効果: 中等度以上の近視と高眼圧(≥20mmHg)が重なると緑内障リスクが4.27倍になるという報告もある
近視眼での診断が難しい理由
近視眼では以下の理由で、緑内障の診断がより難しいとされています。
- 視神経乳頭形態の変化: 近視に伴うチルトや傾きが、緑内障に似た視野異常を呈することがある
- 眼圧の読み誤り: 角膜が薄い傾向のある近視眼では、眼圧が実際より低く測定されることがある
- OCT解析の困難さ: 眼軸長の延長で網膜厚の基準値が一般データと異なり、解釈が難しくなる
このため、強度近視のある方の緑内障診断には眼科専門医による 総合的な評価(眼圧・視野検査・OCT・眼底検査)が特に重要とされています。
定期検査の重要性
緑内障は初期には自覚症状がほとんどありません。 視野の欠けに気づいたときには、すでにかなり進行していることが多いため、 強度近視のある方は症状がなくても定期的な眼科検査が勧められています。
- 眼圧測定
- 視野検査
- 視神経乳頭・網膜神経線維層のOCT評価
「近視だから見えにくいだけ」と思わず、矯正視力の低下や視野の変化を感じたら 早めに眼科を受診することが大切です。 近視の進行抑制の意味については強度近視の合併症のページも参考にしてください。
参考文献
- He M, Zheng Y, Xiang F, et al. Ten-year incidence and risk factors for open-angle glaucoma in a Chinese population: The Beijing Eye Study 2001/2011. Ophthalmology. 2023. [リンク]
- Haarman AEG, Enthoven CA, Tideman JWL, et al. The Complications of Myopia: A Review and Meta-Analysis. Investigative Ophthalmology & Visual Science. 2020;61(4):49.