子どもの近視ナビ

赤色光治療(RLRL)と近視抑制

専用の機器で低出力の赤色光を1日数分見ることで近視の進行を抑える、近年注目の方法を解説します。

最終更新: 2026年6月

赤色光治療(RLRL)のイメージ。子どもが卓上の専用機器をのぞき込み、低出力の赤い光を数分間見ている様子。

赤色光治療(RLRL:Repeated Low-level Red Light therapy/反復低出力赤色光療法)は、専用の卓上機器をのぞき込み、低出力の赤い光を1日数分見る近視抑制法 です。中国を中心に研究が進み、短期間で高い抑制効果が報告されたことで注目されて います。一方で、長期の安全性はまだ十分に確立されていない新しい 方法でもあり、効果と注意点の両方を理解しておくことが大切です。

対象年齢・費用の目安

方法
専用機器をのぞき、波長約650nmの低出力赤色光を1回約3分・1日2回(4時間以上あけて)・週5日ほど見る(ご家庭で実施)
対象年齢
研究では8〜13歳が中心。実施施設では6〜16歳ほどを目安とすることが多いですが、適応や継続は眼科の管理のもとで判断します。
費用の目安
保険適用外の自費診療。初期費用に加えて毎月の機器利用料(サブスク)がかかる方式が一般的で、施設により幅があります(受診先でご確認ください)。
通院・検査
開始前と開始後(1か月・6か月・1年…など)に視力・屈折・眼軸長・眼底/OCTなどを確認しながら進めます。

※ 上記は自由診療(保険適用外)の概算です。費用・対象は施設や時期によって異なります。 日本では未承認の機器を用いた自費診療で、実施施設は限られます。標準治療として確立した方法ではありません。 実際の金額・適応は受診先の医療機関にご確認ください。

どんな仕組み?

赤色光が網膜や脈絡膜(網膜の外側にある血管に富んだ層)の血流・働きに作用し、 眼軸長(眼球の奥行き)ののびを抑えるのではないかと考えられています。ただし、効くしくみはまだ完全には解明されていません。点眼やレンズのように 光のピントを操作する方法とは、まったく異なるアプローチです。

使われている機器(Eyerising)

日本で赤色光治療に使われている代表的な機器が、オーストラリアの Eyerising International 社が開発した「Eyerising(アイライジング)近視治療用機器」です。 波長約650nmの低出力赤色光を用いる卓上型の機器で、メーカーによれば30か国以上で 導入されているとされます。日本では、お子さまが自宅で1回約3分・1日2回・週5日ほど 機器をのぞいて使い、医療機関が経過を管理する運用が一般的です。

ただし、この機器は日本国内では医療機器として承認されていません。 そのため保険はきかず、すべて自費(初期費用+毎月の利用料)での扱いになります。 機器の貸し出しやサブスクリプションの条件、Wi-Fi環境の要否などは施設によって 異なるため、受診先で確認してください。

近視抑制の効果は?(Jiang 2022 / 1年間の研究)

中国で行われた1年間の多施設ランダム化比較試験(Jiangら, 2022年)では、8〜13歳の 近視の子ども約260名を、赤色光治療+単焦点眼鏡のグループと、単焦点眼鏡のみの グループに分けて比較しました。その結果、12か月後の眼軸長ののびは赤色光治療群で約0.13mm、対照群で約0.38mmと、赤色光治療群で 大きく抑えられ、近視の進行(等価球面度数)の差も約0.59ディオプターでした。 これは数ある近視抑制法のなかでも高い数値です。

この研究では、重い有害事象(2段階以上の視力低下、暗点、OCTでの構造的な障害)は 報告されませんでした。

安全性の注意点(とても重要)

赤色光治療は強い効果が報告される一方で、網膜に光を当て続けることの 長期的な安全性はまだ確立されていません。これまでに、

  • 治療後に一時的な視力低下とOCT異常が生じ、中止後に回復した症例報告がある(永続的な視力障害の報告はこれまで なし)
  • 現在の検査では見つけにくい、ごく軽度な網膜への影響(視細胞へのダメージなど)が 起こり得るのではないか、という懸念が専門家から指摘されている
  • もっとも多い症状は、照射後の一時的な残像(数分で消える)

こうしたことから、赤色光治療は必ず眼科の管理のもとで行い、定期的に目の状態(眼底・OCTなど)を確認することが欠かせません。自己判断での使用や、機器の出力・使用時間を守らない 使い方は避けてください。実施施設では、まぶしさ・残像などが5分以上つづくことが繰り返しみられた場合は使用を中止し、 医師に相談するよう案内されています。

受けられない場合(禁忌)の例

実施施設の案内では、次のような場合は赤色光治療を受けられない(または慎重な判断が 必要な)ことがあります。実際に受けられるかどうかは、必ず眼科で診察を受けて 判断してもらってください。

  • 斜視や両眼の見え方(両眼視機能)に問題がある
  • 網膜などの目の病気がある、まぶしさに過敏(光過敏)な体質がある
  • 瞳孔を広げる目薬(散瞳薬)を使っている最中である
  • 低濃度アトロピン点眼と併用する場合は、施設の指示により一定期間(例:2週間ほど)あけるなどの調整が 必要なことがある

現在の位置づけ

赤色光治療は、短期の抑制効果が高く報告される注目の方法ですが、長期の効果と安全性の データはこれからという段階です。日本で広く確立した標準治療とはいえず、より長期の 実績がある低濃度アトロピン点眼オルソケラトロジーDIMS眼鏡レンズとあわせて、メリットとリスクを眼科でよく相談して検討してください。

ほかの治療法との比較は治療についてのページで紹介しています。お子さまの数値で進行の目安を試算したい場合は予測ツールをご利用ください。

もっと知りたい方へ(外部リンク)

機器メーカーや、実際に赤色光治療を行っている眼科の解説ページです。最新の適応・費用・ 運用方法は変わることがあるため、詳しくは各施設にご確認ください(外部サイトが開きます)。

※ 外部サイトの内容について当サイトは責任を負いません。効果や費用には個人差・施設差が あります。

参考文献

  1. Jiang Y, et al. Effect of Repeated Low-Level Red-Light Therapy for Myopia Control in Children: A Multicenter Randomized Controlled Trial. Ophthalmology. 2022;129(5):509-519.

実際の近視進行には大きな個人差があります。本ページは一般的な情報提供であり、 診断・治療に代わるものではありません。気になる症状がある場合は眼科を受診してください。