スマホやタブレット、1人1台のデジタル端末で近くを長時間見続ける「近業(きんぎょう)」は、 目の疲れ(眼精疲労)と関係します。その対策として広く知られているのが、 米国発の「20-20-20ルール」と、日本で学校・家庭向けに 示されている「30分ルール」です。どちらも 「ときどき遠くを見て目を休める」という同じ考え方に 立っています。

20-20-20ルールとは(米国)
20-20-20ルールは、20分ごとに、20フィート(約6メートル) 先を、20秒以上見るという覚えやすい目安です。1990年代に 米国の検眼医(オプトメトリスト)が提唱したとされ、現在は米国眼科学会(AAO)や米国オプトメトリー協会(AOA)などが、デジタル機器による眼精疲労(digital eye strain)をやわらげる方法として紹介しています(AAO)。
- 20分ごとに区切る
- 20フィート(約6m)以上、遠くを見る
- 20秒以上続ける
近くを見続けると、ピント合わせを担う目の筋肉(毛様体筋)が 緊張し続けます。遠くを見るとこの緊張がゆるみ、 まばたきが増えて目の乾きもやわらぐと考えられています。
日本の「30分ルール」(文部科学省・日本眼科医会)
日本では、GIGAスクール構想で1人1台端末が広まったことを受け、文部科学省が児童生徒・保護者向けの啓発リーフレットを 作成しています(文部科学省)。そこで示されている主な目安が、 いわゆる「30分ルール」です。
- 30分に1回は、20秒以上、画面から目を離して遠くを見るなど、目を休める。
- 目と端末の画面との距離を30cm以上離す。
- 就寝1時間前からは端末の使用を控える。
- 明るすぎず暗すぎない環境で、姿勢よく使う。
日本眼科医会もGIGAスクール向けの資料で 20-20-20ルールを紹介しており(日本眼科医会)、日本版は「30分に1回・20秒・30cm」として、学校現場でも 取り入れやすい形にまとめられています。
2つのルールの違いと共通点
どちらも「近業を区切って、20秒以上、遠くを見て目を休める」 点は共通です。違いは主に「区切る間隔」と「距離の示し方」です。
- 間隔:米国版は20分ごと、日本版は30分に1回。 子どもが集中している授業などでは、30分が現実的な目安として 示されています。
- 距離:米国版は「20フィート(約6m)先を見る」、 日本版は「画面と目を30cm以上離す」と、見る距離と端末との距離の両面に触れています。
厳密に時間を測れなくても、「ときどき画面から目を離して、 窓の外など遠くをぼんやり眺める」だけでも目を休める助けに なります。
近視の予防・進行抑制との関係
これらのルールは、まず目の疲れ(眼精疲労)をやわらげるための習慣として推奨されているものです。 近業が多いほど近視と関連するという報告はありますが(Huang 2015)、「20-20-20ルールを守れば近視が確実に防げる」と 言い切れる段階ではありません。
一方で、「近くの見過ぎを区切る」「遠くを見る」「画面以外の時間を増やす」 という方向性は、近視対策として勧められる生活習慣と一致します。 とくに1日2時間程度の屋外活動は 近視の予防・抑制との関連がより多くの研究で示されており、 休憩のたびに外の光を浴びられるとなお望ましいと考えられます。
家庭・学校で続けるコツ
- タイマーや端末のリマインド機能で、20〜30分ごとに 「休憩のあいず」が出るようにする。
- 休憩は窓際や戸外で。遠くを見るついでに 外の明るい光を浴びられると一石二鳥です。
- デジタル端末の使い方全体(距離・明るさ・就寝前)とセットで習慣にする。
「近視かも」と思ったら
近くの見過ぎで一時的に遠くがぼやける仮性近視のこともあります。見えにくさが続く・進む場合は、眼科で定期的に確認しましょう。すでに近視がある場合は、 生活習慣に加えて近視抑制治療の検討もできます。お子さまの進行の目安は予測ツールで試算できます。
参考文献
- American Academy of Ophthalmology Computers, Digital Devices and Eye Strain(20-20-20ルール) American Academy of Ophthalmology(aao.org). [リンク]
- 文部科学省 端末利用に当たっての児童生徒の健康への配慮等に関する啓発リーフレット(目と画面は30cm以上/30分に1回20秒以上遠くを見る 等) 文部科学省. [リンク]
- 公益社団法人 日本眼科医会 GIGAスクール構想に伴う 子どもの目の健康のために(20-20-20ルール) 日本眼科医会. [リンク]
- Huang HM, Chang DST, Wu PC. The Association Between Near Work Activities and Myopia in Children — A Systematic Review and Meta-Analysis. PLoS One. 2015;10(10):e0140419.