
近視の度数分類(等価球面度数 SE)
| 分類 | 等価球面度数(SE)の目安 | 備考 |
|---|---|---|
| 正視 | −0.50D 未満(プラス側含む) | 近視なし |
| 軽度近視 | −0.50D 〜 −3.00D 未満 | |
| 中等度近視 | −3.00D 〜 −6.00D 未満 | |
| 強度近視 | −6.00D 以下 | 合併症リスクが高まる |
| 超強度近視 (病的近視) | −8.00D 以下(または眼軸長≥26.5mm+眼底変化) | 合併症リスクがさらに高まる |
※ 等価球面度数(SE)= 球面度数 + 乱視度数 ÷ 2。分類は文献・機関によって若干異なります。
白内障(はくないしょう)は水晶体が白く濁る病気で、 高齢になるほど多くなりますが、強度近視では より若い年齢で発症しやすいとされています。 また、近視に特徴的な「核白内障(かくはくないしょう)」は 近視の進行に似た変化をもたらすことがあり、注意が必要です。
強度近視と白内障リスク
Haarman ら(2020)のメタ解析では、近視・特に強度近視が白内障リスクの上昇と 関連するという報告が複数の研究からまとめられています。 具体的なリスク比は研究によって幅がありますが、若年での水晶体混濁が起きやすい傾向が示されています。
メカニズムとして以下が考えられています(ただし完全には解明されていません)。
- 眼軸長延長に伴う酸化ストレスの増大
- 硝子体の液化による活性酸素の水晶体への影響
- 強度近視に伴う眼内の慢性的な変化
近視性核白内障の特徴:「見えやすくなった」に注意
近視眼に生じやすい核白内障では、 水晶体の核が硬くなることで屈折力が増し、一時的に近視が強くなったように見える(近視化)ことがあります。
このとき、「老眼が治った」「手元が見やすくなった」と感じることがありますが、 これは白内障による偽りの改善(second sight/核性近視)であり、 進行すると視力が著しく低下します。 「近視が急に強くなった」「老眼が楽になった」という変化を感じたら、 白内障の可能性を含めて眼科を受診することが大切です。
手術について
白内障が進行して視力に影響が出た場合は、 濁った水晶体を取り除いて人工の眼内レンズ(IOL)を挿入する手術を行います。 強度近視の場合、手術の際に以下の点で通常より注意が必要とされています。
- 眼内レンズの度数計算の難しさ: 眼軸長が長い目では通常の計算式の誤差が大きくなりやすく、 精密な術前測定と適切な計算式の選択が重要
- 術後の網膜剥離リスク: 強度近視では白内障手術後の網膜剥離リスクが高まるとされており、術後の経過観察が特に大切
- 後発白内障: 術後に水晶体嚢が濁る「後発白内障」は通常の頻度で起こるが、 YAGレーザーで治療できる
定期検査のすすめ
白内障は初期には症状がわかりにくい場合があります。 強度近視のある方は、視力変化・かすみ・まぶしさなどの症状に気づいたら 早めに眼科を受診してください。 また、定期的な眼科検査で水晶体の状態を確認しておくことが勧められています。
近視の進行を抑えることが、将来の合併症リスク軽減につながると考えられています。 近視抑制治療については近視抑制治療の選び方をご覧ください。
参考文献
- Haarman AEG, Enthoven CA, Tideman JWL, et al. The Complications of Myopia: A Review and Meta-Analysis. Investigative Ophthalmology & Visual Science. 2020;61(4):49.
- Tideman JWL, Snabel MCC, Tedja MS, et al. Association of Axial Length With Risk of Uncorrectable Visual Impairment for Europeans With Myopia. JAMA Ophthalmology. 2016;134(12):1355-1363.