子どもの近視ナビ

Stellest(ステレスト)H.A.L.T.レンズとは

ふだんの眼鏡で近視の進行を抑える「Stellest」。MiYOSMART(DIMS)と並んでガイドラインで推奨されたレンズです。

最終更新: 2026年6月

Stellest(ステレスト)H.A.L.T.レンズの模式図。中央のクリアゾーンの周囲に小さな非球面レンズレットが同心円状に配置され、中心の光は網膜上に、周辺の光は網膜の手前にピントを結ぶ近視性デフォーカスをつくる仕組みを示している。

Stellest®(ステレスト)は、ニコン・エシロール社が開発した近視進行の抑制を目的とした眼鏡レンズです。 2025年の日本眼科学会のガイドラインでは、MiYOSMART(DIMS)とともに 推奨に位置づけられました。

対象年齢・費用の目安

方法
専用設計の眼鏡レンズを、日中できるだけ長く(目安として1日12時間以上)装用する
対象年齢
研究では6〜12歳前後が中心。適応や度数は眼科で判断します。
費用の目安
レンズ+フレームで数万円程度。施設・度数により幅があります。
通院
度数や効果の確認、眼軸長のチェックのため定期的な受診が推奨されます。

※ 上記は自由診療(保険適用外)の概算です。費用・対象は施設や時期によって異なります。 ふだんの眼鏡として使えるため、点眼やコンタクトが難しいお子さまにも取り入れやすい方法です。 実際の金額・適応は受診先の医療機関にご確認ください。

どんな仕組み?(H.A.L.T.)

Stellest はH.A.L.T.(Highly Aspherical Lenslet Target)という設計で、レンズの中心にはっきり見える単焦点の領域を残し、その周囲に非常に小さな凸レンズ(レンズレット)を同心円状に多数配置しています。この小さなレンズが、網膜の手前にピントを結ぶ 「近視性デフォーカス」というシグナルをつくり、眼軸長ののびを ゆるやかにすると考えられています。中心ではっきり見えるため、 ふだんの見え方を保ちながら装用できるのが特長です。 考え方は MiYOSMART(DIMS)と共通していますが、周辺部の構造の作り方が異なります。

近視抑制の効果は?(2年間の研究)

近視の子どもを対象にした2年間のランダム化比較試験では、Stellest(H.A.L.T.)の レンズを1日12時間以上装用したグループで、単焦点眼鏡の グループと比べて近視の進行(度数)が約0.99ディオプター抑えられ、 眼軸長ののびも大きく抑制されたと報告されています。これは数ある 近視抑制法のなかでも高い数値で、装用時間が長いほど効果が出やすい傾向も示されています。

日本で処方できる?(2026年〜国内で取り扱い開始)

Stellest は、2026年6月から日本国内でも取り扱いが始まりました。 近視管理用の眼鏡レンズとして、ニコン・エシロール社から提供され、 眼鏡店(JINSなど)で順次取り扱い店舗が広がっています。当初は一部の店舗での 提供から始まり、今後拡大していく見込みとされています。

  • 眼科の処方箋が必要です。対象や度数の判断、定期的な 効果・眼軸長のチェックは眼科で行います。
  • 研究での主な対象は6〜12歳前後の近視のお子さまです (乱視の有無は問わないとされています)。
  • 費用は自由診療(保険適用外)で、フレーム代+レンズ代でおおむね 8万円前後が目安です(取り扱い店舗・フレームにより異なります)。

メーカーである株式会社ニコン・エシロールは、公式プレスリリースで2026年6月11日の発売を発表しています。発表によると、レンズ表面には1,021個の微小な非球面レンズレットが11層の同心円状に配置されており (H.A.L.T.テクノロジー)、屋外活動向けにカラーレンズ「エシロール® ステレスト® サン」 (全6色)も用意されています。製品は眼科医の処方に基づき、所定のトレーニング・ 認定を受けた取扱店を通じて提供されるとされています。

医療機器としての扱い・書類について

日本では、視力補正用の眼鏡レンズは薬機法上の一般医療機器(クラスⅠ)に分類されます。クラスⅠは承認・認証が不要な「届出(とどけで)」区分で、製造販売業者が PMDA(医薬品医療機器総合機構)へ届出を行い、各製品に医療機器届出番号が割り当てられます。届出番号や(登録があれば) 添付文書は、PMDAの「医療機器 添付文書等情報検索」で調べられます。

ただし、クラスⅠの一般医療機器は、医薬品や高度管理医療機器(コンタクトレンズなど)と 異なり、医薬品のような詳しい添付文書(電子添文)の公開が義務づけられていないのが通常です。眼鏡レンズはリスクが極めて低い区分とされるため、薬のような添付文書が 見当たらないこともあります。製品情報・安全に関する説明は、メーカーの公式サイトや 認定取扱店、処方する眼科を通じて確認するのが確実です。 (海外では、米国FDAが2024年に小児の近視進行を遅らせる眼鏡レンズとして Stellestを承認しています。)

近視管理用眼鏡の制度的な位置づけは、日本眼科学会のガイドラインの記事でも解説しています。実際に作るときは、近視抑制治療を扱う眼科で 相談のうえ、対応している眼鏡店で処方箋に基づいて作製してください。 最新の取り扱い情報は、メーカー公式サイトや眼鏡店の公式発表(ページ下部の参考文献)でご確認ください。

注意点

  • 効果を得るには長時間の装用を続けることが前提です。 かけたり外したりが多いと効果は弱まると考えられます。
  • 周辺部に特殊な構造があるため、慣れるまで見え方に違和感を覚えることがあります。
  • 効果には個人差があり、進行を完全に止められるわけではありません。

MiYOSMART(DIMS)との違い

Stellest(H.A.L.T.)とMiYOSMART(DIMS)は、どちらも「ふだんの眼鏡で近視性デフォーカスをつくる」という 共通の考え方に基づきます。どちらが合うかは、見え方の好みや取り扱い施設に よっても変わるため、眼科で相談して選ぶとよいでしょう。

ほかの治療法との比較は近視抑制治療の選び方、進行の目安の試算は予測ツールでご確認いただけます。

参考文献

  1. Bao J, Huang Y, Li X, et al. Spectacle Lenses With Aspherical Lenslets for Myopia Control vs Single-Vision Spectacle Lenses: A Randomized Clinical Trial (HAL/Stellest, 2-year). JAMA Ophthalmology. 2022;140(5):472-478.
  2. 日本眼科学会 近視管理用眼鏡(多分割レンズ)ガイドライン(第1版) 日本眼科学会雑誌. 2025;129(8):855. [リンク]
  3. ニコン・エシロール株式会社 エシロール ステレスト(Essilor Stellest)製品情報 Stellest 公式サイト. [リンク]
  4. 株式会社ニコン・エシロール 子どもの近視ケアの新常識「エシロール® ステレスト®」を6月11日に発売(H.A.L.T.採用/1,021個のレンズレットを11層に配置/眼科処方に基づき認定取扱店で提供) ニコン・エシロール プレスリリース(PR TIMES). 2026年5月. [リンク]
  5. 株式会社ジンズ 小児の近視用メガネレンズ「ミヨスマート」及び「エシロール ステレスト」の取扱開始のお知らせ(眼科の処方箋が必要/一部店舗で2026年6月11日より順次) JINS 公式トピックス. 2026年6月. [リンク]
  6. 株式会社ジンズホールディングス 特殊な構造を持つ「小児の近視用メガネレンズ」を6月1日(月)より取り扱い開始 PR TIMES(プレスリリース). 2026年5月. [リンク]
  7. 独立行政法人 医薬品医療機器総合機構(PMDA) 医療機器 添付文書等情報検索(一般医療機器の届出番号・添付文書等を検索できる公式データベース) PMDA. [リンク]

実際の近視進行には大きな個人差があります。本ページは一般的な情報提供であり、 診断・治療に代わるものではありません。気になる症状がある場合は眼科を受診してください。