2025年、日本眼科学会は「近視管理用眼鏡(多分割レンズ)ガイドライン(第1版)」を公表しました。これは、近視の進行を抑える効果が報告されている特殊な 眼鏡レンズについて、国内の専門家が初めて公式にまとめた指針です。 これまで近視進行の抑制策の中心だった屋外活動・低濃度アトロピン点眼・オルソケラトロジーに、新たに「眼鏡」という選択肢が公式に加わった節目といえます。
どんなレンズが推奨された?
このガイドラインでは、近視進行の抑制を目的とした多分割(多焦点)構造の 眼鏡レンズとして、次の2製品が推奨に位置づけられました。
いずれも、レンズの中心に通常の見やすい部分を残しつつ、その周辺に 小さなレンズ(または度数の異なる領域)を多数並べ、網膜の手前にピントを 結ばせる「近視性デフォーカス」を利用して眼軸長(眼球の奥行き)の のびをゆるやかにすると考えられています。なお、ガイドラインでは、要件が整えば今後の改訂で対象製品が追加される見込みとされています。
対象や使い方の目安
近視管理用眼鏡は、進行期にある小児の近視が主な対象とされ、 効果を得るためには日中しっかり装用を続けることが大切とされています。 適応の判断・度数合わせ・効果の確認は眼科で行い、眼軸長の測定を含めた定期的なチェックが推奨されます (眼軸長についてはこちらの記事で解説しています)。
このガイドラインの意味
近視管理用眼鏡が公式な指針に位置づけられたことで、点眼やコンタクトに抵抗がある子どもでも、ふだんの眼鏡で 進行抑制に取り組みやすくなったといえます。一方で、効果には 個人差があり、すべての近視の進行を止められるわけではありません。 生活習慣やほかの治療と組み合わせ、眼科と相談しながら続けることが基本です。
それぞれの治療法の比較は近視抑制治療の選び方のページで、進行の目安の試算は予測ツールでご確認いただけます。