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近視は遺伝する?遺伝と近視のリスク

「親が近視だと子どもも近視になりやすい?」——遺伝がどこまで関係し、環境で何ができるのかを、研究をもとにやさしく整理します。

最終更新: 2026年7月

DNAの二重らせんと眼のイラスト。近視に遺伝子が関わることを表している。

「親が近視だと、子どもも近視になりやすいの?」——多くの保護者が気になるテーマです。 結論から言うと、近視には遺伝の関与があると報告されています。 ただし「近視の遺伝子ひとつで決まる」わけではなく、たくさんの遺伝子が少しずつ影響し、そこに生活環境が加わって近視になりやすさが決まる、と考えられています。

双子研究でわかる「遺伝率」

遺伝の影響の大きさを調べる方法のひとつが双子研究です。 遺伝子がほぼ同じ一卵性の双子と、半分ほど共有する二卵性の双子を比べることで、 「その形質が遺伝でどれくらい説明できるか(=遺伝率)」を推定します。

近視のもとになる屈折の状態については、双子研究で遺伝率が概ね60〜80%と高めに報告されています (たとえば Dirani ら 2006 の双子研究)。 つまり、なりやすさには体質(遺伝)の影響がかなりある、ということです。

⚠ 「遺伝率が高い」=「環境では防げない」ではありません。遺伝率は集団の中でのばらつきの 説明割合を表す指標で、個人が生活習慣でできることを否定するものではありません。

遺伝子だけでは説明できない「近視の増加」

世界的に近視は増えていますが、遺伝子は数十年で急に変わるものではありません。 そのため近年の近視の増加は、遺伝だけでは説明できず、近業(読書・スマホなど)の増加や屋外で過ごす時間の減少といった環境の変化が大きく関わっているとされています。遺伝と環境は「どちらか」ではなく、組み合わさって影響します。

近視は「多因子遺伝」

近視は、1つの遺伝子で決まる病気ではなく、多数の遺伝子多型(SNP:塩基のわずかな個人差)が少しずつ寄与する「多因子遺伝」と考えられています。世界中のデータを集めた大規模なゲノム解析(GWAS)では、 近視・屈折に関連する遺伝子の場所が数百か所(2020年時点で336か所)見つかっています(Hysi ら 2020、Tedja ら 2018 など)。

ひとつひとつの影響は小さく、多くは「そのタイプを持つ人で近視がやや多い」という集団レベルの関連です。どんな遺伝子があるかは近視に関わる主な遺伝子のページでくわしく紹介します。

遺伝と環境の「交互作用」

遺伝子の影響は、環境によって強まったり弱まったりすることも報告されています。 たとえば Fan ら(2016)の研究では、教育年数(=近業の多さの目安)と特定の遺伝子が交互に作用して 近視のなりやすさに関わることが示されています。 体質があっても、屋外活動近業の休憩といった環境の工夫が意味を持つ、 という考え方につながります。

家族に近視が多いときにできること

体質は変えられませんが、環境と早めの対応でできることはあります。 心配な場合は近視管理を行う眼科にご相談ください。

遺伝子検査で近視リスクがどこまでわかるのかは遺伝子検査で子どもの近視リスクはわかる?のページで解説しています。お子さまの数値で進行の目安を試算したい場合は予測ツールもご利用ください。

参考文献

  1. Dirani M, et al. Heritability of refractive error and ocular biometrics: the Genes in Myopia (GEM) twin study. Investigative Ophthalmology & Visual Science. 2006;47(11):4756-4761. 原著リンク
  2. Solouki AM, et al. A genome-wide association study identifies a susceptibility locus for refractive errors and myopia at 15q14 (GJD2). Nature Genetics. 2010;42(10):897-901. 原著リンク
  3. Tedja MS, et al. (CREAM Consortium) Genome-wide association meta-analysis highlights light-induced signaling as a driver for refractive error (161 loci). Nature Genetics. 2018;50(6):834-848. 原著リンク
  4. Hysi PG, et al. Meta-analysis of 542,934 subjects of European ancestry identifies new genes and mechanisms predisposing to refractive error and myopia (336 loci). Nature Genetics. 2020;52(4):401-407. 原著リンク
  5. Fan Q, et al. Meta-analysis of gene–environment-wide association scans accounting for education level identifies additional loci for refractive error. Nature Communications. 2016;7:11008. 原著リンク

実際の近視進行には大きな個人差があります。本ページは一般的な情報提供であり、 診断・治療に代わるものではありません。気になる症状がある場合は眼科を受診してください。