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1dayPure EDOFは近視進行抑制に効く?エビデンスを解説

シード(SEED)の「1dayPure EDOF(ワンデーピュア イードフ)」について、近視進行抑制のエビデンスがどこまであるのか、日本での位置づけとあわせてやさしく整理します。

最終更新: 2026年6月

シード 1dayPure EDOF(焦点深度拡張)ソフトコンタクトレンズのイラスト。レンズ面に度数の異なるゾーンが同心円状に配置され、ピントの合う範囲を前後に広げる設計を表している。

1dayPure EDOF(ワンデーピュア イードフ)は、国内メーカーのシード(SEED)が販売する1日使い捨てソフトコンタクトレンズです。EDOF(焦点深度拡張)という、ピントの合う範囲を前後に広げる設計を採り入れたレンズで、 「子どもの近視の進行を抑える効果があるのでは」と注目されています。 このページでは、その近視進行抑制のエビデンスがどこまであるのかを、 日本での承認状況とあわせて整理します。

対象年齢・費用の目安

製品
シード 1dayPure EDOF(1日使い捨てソフトコンタクトレンズ・国内生産)
日本での承認用途
「遠近両用(老視用)」として承認。子どもの近視進行抑制は承認の範囲外(適応外使用)。
エビデンス
海外の小児RCT 1本(SEED LVPEI研究, 2024年・インド・12か月)が中心。
通院・管理
近視抑制目的では自由診療が一般的。ソフトコンタクトのため衛生管理と定期受診が前提。

※ 上記は自由診療(保険適用外)の概算です。費用・対象は施設や時期によって異なります。 近視抑制目的での適応や使い方の判断は、必ず近視抑制治療を扱う眼科で受けてください。 実際の金額・適応は受診先の医療機関にご確認ください。

そもそも1dayPure EDOFとは?

EDOF(イードフ)は Extended Depth of Focus(焦点深度拡張) の略で、 レンズの中に度数の異なるゾーンをなめらかに組み合わせ、ピントの合う範囲(焦点深度)を前後に広げる技術です。 もともとは手元から遠くまで見えやすくする「遠近両用(老視用)」の発想ですが、 この設計には網膜の周辺部に近視性デフォーカス(網膜の手前で光が結ばれる状態)を作り出す働きがあり、 これが眼軸長(眼球の奥行き)ののびをゆるやかにすると考えられています。 この考え方はオルソケラトロジーDIMS眼鏡レンズとも共通します。

1dayPure EDOFには、焦点深度の広げ方(おおまかには手元寄りの度数の加わり方)の違いでLow(加入度 約+0.75D)・Mid(約+1.50D)・Hi(約+2.25D)の タイプがあります。後述する近視進行抑制の研究で使われたのは、このうちMid タイプです。

近視進行抑制のエビデンスはある?(SEED LVPEI研究, 2024年)

1dayPure EDOFの近視進行抑制を直接調べた中心的な研究は、現時点では インドのLVプラサード眼科研究所で行われたランダム化比較試験「SEED LVPEI Indian Myopia Study」(Manoharanら, 2024年)1本です。概要は次のとおりです。

  • 対象:7〜15歳の近視の子ども 104人(うち12か月を完遂したのは69人)
  • 比較:1dayPure EDOF(Mid)を装用するグループ(48人)と、 ふつうの単焦点眼鏡のグループ(56人)
  • 期間:12か月(1年間)

その結果、単焦点眼鏡のグループに比べて、EDOFレンズのグループでは

  • 近視の進行(度数の悪化)が約59%ゆるやか(差 −0.28D/12か月、p=0.01)
  • 眼軸長ののびが約49%ゆるやか(差 0.11mm/12か月、p=0.007)

だったと報告されています。具体的には、12か月時点の近視進行は単焦点群が平均 −0.48D、EDOF群が −0.20D、眼軸長ののびは単焦点群が 0.22mm、EDOF群が 0.11mm でした。安全性については重篤な有害事象の報告はなく、約82%が装用に満足した一方、 約11%が時々の乾燥感、約14%が装用直後の軽い視力のゆらぎを訴えたとされています。

このエビデンスをどう読めばよい?

59%・49%という数字だけを見ると効果が大きく見えますが、解釈には注意が必要です。

  • 研究はまだ1本・1年・海外:オルソケラトロジー(ROMIO研究など)や低濃度アトロピン(LAMP研究など)のように 複数の長期RCTで裏づけられた治療に比べると、エビデンスの蓄積は途上です。
  • 製品・設計による差が大きい:別のEDOFレンズの1年間の試験 (Sankaridurgら, 2022年)では効果が小さめにとどまっており、 「EDOFなら必ず効く」とは言えません。
  • 脱落者がいる:104人中、1年完遂は69人で、途中で抜けた人もいます。

まとめると、近視進行抑制のエビデンスは「あるが、まだ限定的」というのが、現時点での妥当な位置づけです。

日本での大切な注意点(適応外使用)

ここがもっとも誤解されやすいところです。1dayPure EDOFが日本で承認されているのは「遠近両用(老視用)」としての用途であり(販売名「シード1dayPureUP」、医療機器承認番号 22100BZX00759000)、子どもの近視進行抑制を目的とした使用は、現時点では承認の範囲外(適応外使用)です。そのため近視抑制目的で用いる場合は、医師の判断のもとで自由診療として行われるのが一般的です。

一方で、子どもの近視進行抑制を目的として日本で正式に承認されたソフトコンタクト レンズには、2025年に承認されたマイサイト ワンデー(MiSight 1day)があります。こちらはEDOFではなく二重焦点(デュアルフォーカス)という別の設計で、 近視抑制を目的とするなら第一に検討される選択肢です。 どちらが向いているかは、必ず眼科でご相談ください。

メリット

  • 1日使い捨てで衛生管理がしやすく、国内生産で入手しやすい
  • 日中は裸眼に近い感覚で、眼鏡をかけずに過ごせる
  • 遠くも手元も見えやすい設計
  • 装用をやめれば元に戻る(可逆的)

注意点・デメリット

  • 近視抑制は適応外使用:日本では老視用として承認された製品で、 近視抑制目的の使用は自由診療になります。
  • エビデンスは限定的:根拠となるRCTは海外の1年研究が中心で、 長期の効果・安全性データはほかの治療に比べてまだ少なめです。
  • 衛生管理が重要:誤った使い方は角膜の感染症などのリスクになります。
  • 効果には個人差があり、装用直後に軽い視力のゆらぎを感じることがあります。

どんな子どもに向いている?

眼鏡をかけたくない、スポーツをよくする、レンズの取り扱いと衛生管理を続けられる、 といったお子さまでコンタクトを希望する場合の選択肢のひとつです。 ただし上記のとおり日本では適応外使用にあたるため、 近視抑制目的では正式承認のマイサイト ワンデーや、コンタクト以外の低濃度アトロピン点眼DIMS眼鏡レンズも含めて、眼科で比較検討することをおすすめします。

EDOFコンタクト全般の仕組みはEDOFコンタクトレンズとはのページで、ほかの治療法との比較は治療についてのページで紹介しています。お子さまの数値で進行の目安を試算したい場合は予測ツールをご利用ください。

参考文献

  1. Manoharan MK, Verkicharla PK, et al. Randomised clinical trial of extended depth of focus lenses for controlling myopia progression: Outcomes from SEED LVPEI Indian Myopia Study. British Journal of Ophthalmology. 2024;108(9):1292-1298.
  2. Sankaridurg P, et al. Center-for-Near Extended-Depth-of-Focus Soft Contact Lens for Myopia Control in Children: 1-Year Results of a Randomized Controlled Trial. Ophthalmology and Therapy. 2022;11(4):1419-1431.
  3. シード株式会社 シード 1dayPure EDOF(イードフ)製品情報(販売名: シード1dayPureUP/医療機器承認番号 22100BZX00759000、遠近両用1日使い捨てソフトコンタクトレンズ) SEED 公式サイト.
  4. 日本オルソケラトロジーと特殊コンタクトレンズ研究会(SOS-J) 多焦点ソフトコンタクトレンズ(近視進行抑制治療について) SOS-J 一般向け情報.
  5. クーパービジョン・ジャパン株式会社 日本初、近視進行抑制治療を目的としたソフトコンタクトレンズ「マイサイト ワンデー」が厚生労働省の製造販売承認を取得 クーパービジョン ニュースリリース. 2025年8月.

実際の近視進行には大きな個人差があります。本ページは一般的な情報提供であり、 診断・治療に代わるものではありません。気になる症状がある場合は眼科を受診してください。